飛翔体と弾道ミサイル・核ミサイルの違いは?意味や定義と北朝鮮の報道についても
北朝鮮より飛翔体が発射され、弾道ミサイルではないかとする報道がありました。
初めから弾道ミサイル発射と報道する場合が多かったように思うのですが、飛翔体という言葉をあえて使うのはなぜなんでしょうか。
また、弾道ミサイルの定義について考えた際に、核ミサイルの呼称との違いも気になりました。
よって今回は
- 飛翔体・弾道ミサイル・核ミサイルの定義の違い
- 国連制裁決議の内容は?弾道ミサイルでなければOKなの?
こんな疑問について調べてみましたので、ご紹介していきます。
飛翔体と弾道ミサイル・核ミサイルの違い
飛翔体の意味・定義と北朝鮮の報道での使われ方
まず飛翔体の定義は以下の通りとなっています。
飛翔体とは?
飛翔するもの、空中を飛んで移動する物体。とりわけ、高高度を飛ぶ人工物で、より具体的な区分呼称で呼ぶことが難しいものを指す場合に用いられる。
報道などでは北朝鮮などから発射された「弾道ミサイルの疑いが高いもののミサイルだと断定はしかねる物体」を飛翔体と呼んで報じることが多い。ミサイルと断定できる場合には「北ミサイル」のような呼称で報じられる。
出典 Weblio辞書
飛翔体の定義の解説に、まさか求めていた北朝鮮のミサイルの呼称に対する記述が載っているとは思っていませんでしたが、これで疑問が解決しました。
飛翔体とはミサイルよりも抽象的な言葉であり、空を飛んでいるもの全般について適用できる言葉ということですね。
つまり
「北朝鮮がミサイルかは分かんないけど、なんか発射したらしいぞ!」
という時に使われるのが飛翔体ということになります。
しかし今までは弾道ミサイルとすぐに断定できていたのに、今回は判別できなかったということになりますね。
この点は疑問が残るところです。
弾道ミサイル・核ミサイルの意味・定義
飛翔体は高高度を飛ぶ人工物全体を呼ぶ言葉であることは分かりました。
では弾道ミサイルと核ミサイルとはなんなのでしょう?
まずは弾道ミサイルの定義からです。
弾道ミサイルとは?
弾道ミサイルは、大気圏の内外を弾道を描いて飛ぶ対地ミサイルのこと。弾道弾とも呼ばれる。弾道ミサイルは最初の数分の間に加速し、その後慣性によって、いわゆる弾道飛行と呼ばれている軌道を通過し、目標に到達する。
出典 Wikipedia
要は「大気圏を経由するほどの高い放物線を描いて遠距離まで届くミサイル」のことですね。
弾道ミサイルの弾道とは、ミサイルを目標まで飛ばす手段を表していると言っていいでしょう。
大気圏まで飛ぶようなミサイルということで、構造はほぼ宇宙ロケットと変わらないようです。
宇宙ロケット技術を軍事転用したようなイメージですね。
そしてこの弾道ミサイルの特徴は、高高度から高速で目標に向かって落下するため迎撃が困難であることです。
歴史上古くから使用されていた通常のミサイルから進化した、最新ミサイルといったイメージでしょうか。
では次に、核ミサイルの定義についてです。
核ミサイルとは?
核ミサイルは、核弾頭(核兵器)を搭載したミサイルのこと。核兵器運搬手段の1つ。多くの場合、誘導装置を持つミサイルだけでは無く、無誘導のロケット弾を分類に含める。
出典 Wikipedia
核ミサイルの定義は単純で、核を積んだミサイルであれば全て核ミサイルです。
通常ミサイルだろうが弾道ミサイルだろうが、核を積んでいれば核ミサイルと呼べるということですね。
弾道ミサイルはその手法を表した用語なのに対して、核ミサイルはその中身を表した用語と言えるでしょう。
北朝鮮への国連制裁決議の内容は?弾道ミサイル以外はOKなの?
北朝鮮が飛翔体を発射したということで、その正体が弾道ミサイルであれば国連制裁違反と報道されています。
逆に言えば弾道ミサイル以外はOKなのでしょうか?
国連制裁内容についてなんとなくは理解しているつもりですが、正確にどんな種類のミサイルが禁止されているのかなどを調べたことがありませんでした。
2017年12月に採択された国連制裁決議の内容は以下の通りとなっています。
①灯油やガソリンなど石油精製品の北朝鮮への輸出を現在の年間およそ450万バレルから、来年1月以降、年間50万バレル以下と90%近く削減。前回9月の安保理決議による、石油精製品に対する制限を大幅に強化していて、来年1月1日から北朝鮮がほとんどの石油精製品を輸入できないようにすることを目指す。
②北朝鮮からの食品、機械、電気機器、木材の輸入と北朝鮮への産業機械や運搬用車両の輸出を全面的に禁止。
③北朝鮮が海外に派遣している労働者の収入を核やミサイル開発に充て続けていることを懸念するとしたうえで、決議が採択された日から2年以内に原則、すべての労働者を本国に送還。送還の期限をめぐっては、草案の段階では「1年以内」とされていた。しかし、北朝鮮の労働者を多く受け入れているロシアの要求を受け入れて「2年以内」に修正。
④決議違反の疑いがある船舶について国連加盟国の港では拿捕(だほ)や臨検、差し押さえの義務があるとしたうえ、領海内でも拿捕することを認めると定める。
⑤北朝鮮の人民武力省の1団体と銀行関係者19人を新たに資産凍結の対象に指定。
⑥アメリカが中国に強く迫ってきた中国から北朝鮮への原油の供給停止には踏み込まず。決議では、原油の供給について、年間400万バレルもしくは52万5000トン以下に制限するとして初めて数量の上限が明記されたものの、これは中国からの年間供給量とほぼ同じ量であることから、前回9月の決議と同様、現状維持を認める内容に。
⑦一方で、北朝鮮が新たな核実験や弾道ミサイルの発射を行った場合、安保理は、北朝鮮への石油供給をさらに制限する措置を取るという表現を初めて明記。
出典 www3.nhk.or.jp
最後⑦がミサイルに関する制裁内容になりますね。
- 核実験
- 弾道ミサイル
の2点を禁止しています。
つまり核実験でもなく弾道ミサイルでもない通常のミサイルならば許可されているということですね。
やはり世界では「核禁止」ということがメインワードであり、弾道ミサイルも核を載せるための実験と見なされ禁止されているということなのでしょう。
(アメリカやヨーロッパまで届いちゃうから問題になっているという側面もあるでしょうが・・・)
通常ミサイルの実験であれば通常の国の国防の訓練と変わらないということでしょう。
まとめ
今回の記事をまとめると、
- 飛翔体とは、高高度を飛ぶ正体不明の飛行人工物全般を指す言葉
- 弾道ミサイルとは、大気圏まで放物線を描いて飛ぶ手法のミサイルを指す言葉
- 核ミサイルとは、中身が核であるミサイル全般を指す言葉
- 国連制裁内容では、通常のミサイルならば禁止されていない
でした。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。